L STUDIO

エルスタジオ

デザイン 株式会社リアルクリエイション 小島賢士
音響設計 日本音響エンジニアリング株式会社
照明設計 ブランチ 中村達基
施工 株式会社のあ建築設計

プロジェクトの経緯

  •  オフィスの中に録音スタジオがあったら面白い!という施主の要望より始まったプロジェクト。ノウハウがないととても手が出せないプロジェクトであったが、まずはプロジェクトメンバーを集めることに苦労をした。
  •  そしてオフィスのNC値は35から40ほどで、現場は外気の取り入れの際新幹線の音が聞こえたりする、録音スタジオの環境からいうと劣悪な環境と言える。これを改良し、録音スタジオの適正NC値であるNC15という数値まで空間を改造することが今回のプロジェクトの核となるのである。
  •  ところでNC値とは交通騒音など窓壁を透過して入ってくる外部からの騒音をはじめ、室内自身で起こりうる騒音、例えば空調などによる機械音などがある。その室内に発生する騒音を表す値として「NC値」というものがある。
  •  NC値は騒音レベルを測る際の指標となるが、一般的なオフィスだとNC35〜40が基準とされており、これは2〜2.5mのテーブルで会議ができ、電話の会話に支障がないレベルである。4mほど離れていても普通の会話ができる環境で、NC35〜40はごくごく一般的なオフィスと言え、特に防音処置をしておらず、上階でジャンプしたりすると下階に聞こえ、隣のテナントの声や音がごく稀に聞こえたりするレベルである。
  •  録音スタジオに求められるNC値はNC15である。これはもっとも静かな空間で、とても小さい声でも会話できるレベルである。NC40からNC15に変えるためには、防音層、遮音層、吸音層を考慮した壁や、下階に振動を伝えず、室内に伝えないために浮床にする。などなど様々な大きい防音工事をしつつ、家具の反響や吸音など小さい音の聞こえ方まで処置をせねばならず、トライアンドエラーの繰り返しを延々と続ける。そうしてやっと生まれる空間がNC15の部屋である。
  •  オフィスの設計をしていると、よく会議室の音を隣に聞こえないようにしてくれと頼まれることが多い。多いが実際のところ声を止めることはとても難しく、意外とネックになっている。なぜネックかというと単純にコストである。音を止めるには質量や重量が必要で、今回作ったスタジオも壁厚は65cm以上ある。防音は簡単にできると一般的に思われているが、人の声を止めるだけでも実際は難しい。今回のプロジェクトはそんな会議室レベルではないほどの、とても難しい防音が要求されたが、日本音響エンジニアリングのノウハウで実現した。私にとっても音に関してとても考えさせられる良い経験となったプロジェクトである。

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コントロール室

 音声収録の際、演者に指示を出したり調整を行う部屋。木製の家具はウォールナット。音を反射させるため、面の部分は極力減らしリブ状にしたり、布を貼ったりすることで音を拡散させるようにしている。

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 コントロール室

エンジニアが座る席。スピーカーの角度はこの席を中心に考えられている。部屋は天井、壁と全て防炎処理された布で施工されている。布を触ると太鼓状になっており、布と空気層で吸音している。吸音層の次は遮音層があり、その先に防音層があり、多重構造となっている。

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 コントロール室

 向かって左側に木の拡散棒を配置し、間接照明で演出している。これもデザイン的要素というよりは音を拡散させる装置としての存在が大きい。

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録音室

 録音室もコントロール室と同じ布貼りの壁になっているが、より音が反射する素材を少なくしている。名だたる声優さんたちがこの部屋で音声を録音するのである。

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録音室

ストライプ状にした壁、天井デザイン。ロール状の布を専用のコネクターで止めていくので、それならばと思いついたデザイン。布も海外のものなので、色がとても綺麗である。

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録音室

 映画の録音もできるのがこの部屋の特徴である。テレビと映画は出力の音源が全く異なる。5.1chや7.1chの音を調整できなくてはならない。映画の映像を見ながら、エンジニアが音を当てていくことができる設備となっている。

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録音室

 映画収録調整の際のセッティング。最先端の機材が並んでいる。このテーブルは可動式になっている。地味な話だが、機材の重量があるためキャスターの選択にはとても気を使った。

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ラウンジ

 前回の工事の際作ったラウンジに新しく録音スタジオが接続された形になっている。

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ラウンジ

 このラウンジで演者さんがくつろいだり、マネージャー関係者が打ち合わせや待合として使用する。ケータリングや飲み物などが振舞われる。

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楽屋前

 ラウンジは楽屋にも接続している。ドアの横の黒板は演者さんの名前が書かれる。
 

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楽屋

 楽屋は4部屋あり、配信スタジオもあるので、メイクなどができるようになっている。

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楽屋

 楽屋の4室は全て色を変えている。

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ロゴサイン

 ロゴサインの背面にはレトロな木材を使用した。最先端でありながらノスタルジックな雰囲気は、スタジオにとても似合う。

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録音室ディティール

 布の色の選択には配色に気を配った。色も少し濁った色を選んでいるが、どこか歌舞伎のような日本の伝統色を感じていただけると思う。

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ラウンジディティール

 配信スタジオが見える。木と黒の組み合わせはスタジオの雰囲気をより工房的に演出してくれている。

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